今回は、格闘技エクササイズで行う「クロス」のアドバンス編です。
これまでの「クロス① ビギナー編」「クロス② ベーシック編」では、クロスの基本的なフォームや身体の使い方について解説してきました。
今回のアドバンス編では、そこからさらに一歩進んで、
「どうすればクロスのスピードと威力をさらに高められるのか?」
という部分を解説していきます。
クロスを強く打とうとすると、つい腕に力を入れて思い切りパンチしたくなります。
しかし、強いクロスを打つために大切なのは、腕の力だけではありません。
身体全体の動きを連動させて、力を拳まで伝えていくこと。
これが今回の大きなポイントです。
目次
クロスの威力は「腕の力」だけで出さない
まず覚えておきたいのが、
「強く打つ=腕に力を入れる」ではない
ということです。
腕だけで思い切りパンチをすると、一瞬は力が入りますが、動きが硬くなってしまいます。
また、パンチのスピードも落ちやすく、次の動作にもつながりにくくなります。
そこで意識したいのが、
- 肩甲骨
- 拳のひねり
- 腰の回転
- 反対側の肩を引く動作
です。
これらを上手く連動させることで、腕だけに頼らず、身体全体を使ったクロスを打ちやすくなります。
ポイント① 肩甲骨を前に滑らせる
今回、特に意識してほしいのが肩甲骨です。
クロスを打つとき、
「拳を前に出す」
という意識だけではなく、
「肩甲骨を前に滑らせながら拳を出す」
というイメージを持ってみてください。
肩甲骨が前へ動くことで、パンチに伸びが出やすくなります。
さらに、肩甲骨・肩・腕を連動させることで、身体の力を拳へ伝えやすくなります。
イメージとしては、
拳だけを前に突き出すのではなく、身体の後ろ側から拳を前へ送り出す
ような感覚です。
肩甲骨の動きを感じる簡単な方法
肩甲骨の動きが分かりにくい場合は、手を壁などについた状態で確認してみましょう。
肩甲骨を寄せるようにすると、身体が少し後ろへ戻ります。
そこから肩甲骨を前へ離すように動かすと、肩まわりが前へ出ていきます。
この、
「寄せる → 離す」
という動きを感じてみてください。
クロスでは、この「離した状態」をパンチの伸びにつなげていくイメージです。
ポイント② 拳を少しひねって肩甲骨を使う
次に意識したいのが、拳のひねりです。
クロスを打つとき、拳をただ縦方向に前へ出すだけではなく、少しひねるようにしてみましょう。
このひねりを加えることで、肩甲骨が前へ出やすくなる感覚があります。
さらに、身体の回旋動作も使いやすくなります。
特にクロスでは、
拳のひねり → 肩 → 肩甲骨 → 腰
というように、身体全体を連動させることが重要です。
「拳をひねることだけ」を目的にするのではなく、ひねりをきっかけに身体全体を連動させると考えると分かりやすいでしょう。
ポイント③ 打つ前はしっかり力を抜く
スピードを出すためには、実は「力を入れること」だけではなく、
打つ前に力を抜いておくこと
も非常に重要です。
最初から身体全体をガチガチに固めてしまうと、動き出しが遅くなります。
だからといって、身体をダラーンとさせるわけではありません。
ガードの形はしっかり保ったまま、肩や腕はリラックスしておきます。
そして、
打つ → 当たる瞬間に力を入れる
という感覚を作っていきます。
拳も最初から強く握り込むのではなく、軽く握っておきます。
そしてインパクトの瞬間に拳をしっかり握る。
これによって、リラックスした状態から一気に力を伝えやすくなります。
ポイント④ 反対側の肩を引く
さらにクロスの回転を強くしたい場合は、
クロスを打つ側とは反対側の肩を引く
ことも意識してみましょう。
例えば右のクロスなら、左肩を後ろへ引くイメージです。
右側を前へ出すだけではなく、
「右を出す+左を引く」
という動きを使います。
そうすることで身体の回旋が強くなり、腰のひねりも使いやすくなります。
クロスは「打つ側だけを動かす」のではなく、反対側も含めて身体全体で動かすことがポイントです。
反対側の肩を引くときの注意点
ここで一つ注意があります。
反対側の肩を引こうとして、
ガード側の脇が開いてしまわないようにしてください。
脇が開いてしまうと、ガードの形が崩れてしまいます。
特に格闘技エクササイズでは、クロスの後に別のパンチへつなげることが多いため、ガードが大きく崩れると次の動作が遅れてしまいます。
そのため、
脇を締めてガードした状態を保ちながら、反対側の肩を引く
という意識を持ちましょう。
スピードと威力を出すクロスのポイントをまとめると
ここまでのポイントをまとめてみましょう。
① 肩甲骨を前に滑らせる
拳だけを前へ出すのではなく、肩甲骨から拳を前へ送り出すイメージを持ちます。
② 拳を少しひねる
拳のひねりを使うことで、肩甲骨や身体の回旋を連動させやすくします。
③ 打つ前はリラックス
最初から力を入れすぎず、ガードを保ちながらリラックス。
インパクトの瞬間に力を入れます。
④ 反対側の肩を引く
打つ側を出すだけではなく、反対側の肩を引くことで身体の回転を強くします。
この4つを意識することで、クロスにスピードと伸びを出しやすくなります。
ただし「全部使えばいい」というわけではありません
ここが、格闘技エクササイズでクロスを行うときの重要なポイントです。
今回紹介した動きは、あくまでもクロスのスピードや威力を高めるための身体の使い方です。
実際の格闘技エクササイズでは、クロスを1発だけ打って終わることはそれほど多くありません。
例えば、
ジャブ → クロス
あるいは、
ジャブ → クロス → フック
というように、次の動作につなげていきます。
そのため、毎回クロスを最大限まで伸ばし、身体を大きくひねってしまうと、次のパンチが打ちにくくなります。
例えばクロスで身体を回しすぎると、そこからフックへ移行するときに身体を戻す動作が必要になります。
これではコンビネーション全体のスピードが落ちてしまいます。
だからこそ、
「どこまで身体を使うのか?」
という調整が大切です。
目的に合わせてクロスの大きさを調整する
クロスを単発で打つ場合には、今回紹介したように肩甲骨や身体の回転をしっかり使って、伸びと威力を出してみましょう。
一方で、ジャブクロスなどのコンビネーションでは、次の動作につながる範囲に調整します。
つまり、
単発なら大きく使う。
コンビネーションなら小さく調整する。
という考え方です。
この「調節」ができるようになると、格闘技エクササイズの動きがさらにスムーズになります。
最初から完璧に調整する必要はありません。
まずは今回紹介した身体の使い方を理解して、実際にクロスを2回程度打ってみてください。
「拳だけで打つクロス」と、
「肩甲骨・腰・反対側の肩まで使ったクロス」
では、スピードや伸びに違いが出てくるはずです。
まとめ|クロスは「力」より「身体の連動」
今回は、クロスのアドバンス編として、スピードと威力を高めるための身体の使い方を紹介しました。
重要なポイントは、
肩甲骨を使う
拳を少しひねる
打つ前に力を抜く
インパクトで力を入れる
反対側の肩を引く
ということです。
クロスを強く打とうとすると、どうしても腕に力を入れたくなります。
しかし、本当に大切なのは、腕だけで頑張ることではありません。
身体全体を連動させて、その力を拳まで伝えていくことです。
そして、格闘技エクササイズでは「強く打つこと」だけが正解ではありません。
次のパンチにつながるように、身体の使い方を調整することも重要です。
まずは今回紹介したポイントを意識して、
「肩甲骨を使う」
「拳をひねる」
「反対側の肩を引く」
この3つを意識しながらクロスを打ってみてください。
クロスのフォームに慣れてきた方は、ぜひ「力任せに打つ」のではなく、身体全体を連動させてスピードと伸びのあるクロスを目指してみましょう。







